このCDは2001年末にリリースされたメリロの6枚目のアルバムです。
1984年から2000年にかけて作曲された、初級バンド向けからグレード6に至るまで
様々なタイプの作品12曲が収録されています。演奏はメリロ自身の指揮に加え、
「Chapter2」でも華麗な演奏を聞かせてくれた、ライプツィッヒ放送吹奏楽団と
今回初めてメリロ作品に登場する、イタリアのヴァルテッリーナ吹奏楽団です。

HAJJ Op.884 in 2000
 「メッカ巡礼」というタイトルのこの作品はアラビア系メロディで全曲が構成されています。ラテン・パーカッション(ボンゴ・コンガ)の伴奏に乗せて、ホルン・トランペットがそのメロディを奏でていきます。そこにはシンセサイザーの神秘的コーラスも加わります。そして鈴のロールの後、クラベスの伴奏に乗せて打楽器群のソロが入り、メインコーナーへ。ここからは曲の雰囲気がジャズテイストになります。エレキベースやピアノの伴奏に乗せてトランペットが高音のメロディと奏で、サキソフォン群がジャズ奏法で吹いていきます。中間部に入ってもアラビア風メロディは形を変えてどんどん出て来ます。クライマックスは先ほどのジャズテイスト風に戻り、その高揚感のまま終わります。ゴッドスピード!に次ぐスピード感あふれる曲なのではないでしょうか。約8分30秒の曲です。

 

Music from the Motion Picture AURORA Op.845 in 1998
 クリストファー・クリコフスキー監督の映画「AURORA」からの抜粋音楽です。この映画の音楽はメリロが担当しています。実際の曲は管弦楽用に作られたそうですが、ここでの作品は1998年に彼自身が吹奏楽用に編曲したものです。第3楽章編成で構成され、第1楽章はこの映画のテーマが紹介されます。いかにも映画音楽という曲ですが、吹奏楽用に編曲されたものを聞くと、また違った感じが得られました。第2楽章はどのようなシーンで流れたかは分かりませんが、とても美しいメロディで構成されています。第3楽章は、テーマの応用が聞こえ、クライマックスまでこのまま行きます。約16分の曲です。

 

WITHOUT HESITATION Op.821 in 1996
 この曲は、組曲「Honor, Courage... Commitment」(名誉・勇気・誓約)の第2楽章として作曲されました。第1楽章は「Chapter1」の第1曲目に収録されている「Without Warning」です。トランペットのファンファーレが印象的なカッコ良い楽章です。冒頭から目立つ低音はテューバとエレキベースで構成されています。それが終わるとそのファンファーレが聞かれ、カッコ良いフレーズがクライマックスまで続いていきます。第2楽章としては良くできた曲であると思います。約5分20秒の曲です。

 

Under Cover of Night & Into the Light of Day! Op.702 in 1993
 ティンパニのロールから入り、金管楽器のダークなフレーズが印象的なのは「Under Cover of Night」という曲です。全体的にダークな感じが目立つ作品となっていますが、途中、フルートによる明るいメロディも聞かれ、暗さと明るさが混合されたおもしろい曲でもあります。最後はホルンがカッコよく奏でて終わります。次の「Into the Light of Day!」は前者の曲とは逆に静かな作品です。しかし後半はティンパニのロールから金管楽器の華麗なメロディが聞こえたかと思うと、ハイハットシンバルの伴奏に乗せて、またまたカッコ良い旋律を聞かせてくれます。そのまま最後へ!2曲合わせて約9分の曲です。

 

A Sending Op.874 in 1999
 冒頭から打楽器の重い伴奏に乗せてトロンボーンがこの曲のメインテーマを奏でます。そして木管楽器が静かにそれと対照のテーマを吹き出します。直後再び打楽器のリズムが1回だけ入ります。ここに流れるメロディをよく聞くとあるメロディが流れます。(あるメロディ=「Chapter0」に収録されている「In a Cause Called "Glorious"」の冒頭のフレーズ)それからゆっくりと盛り上がっていきます。色々な楽器によって冒頭のトロンボーンのメロディが演奏されます。それが終わると、軽くファンファーレが流れ、再びメインテーマが聞かれ、一時はそれも穏やかになります(フルートのメロディが聞こえてきます)。その穏やかさのまま曲は終わっていくのです。約7分の曲です。

 

Patrick's Rune Op.705 in 1993
 「パトリックの記号」という曲の冒頭は「STORMWORKS」の第3楽章のラストフレーズから始まります。それに乗せて木管楽器による旋律が聞かれ、頭のリズムに戻りカッコいい部分が開始されます。金管楽器の攻撃的旋律が繰り広げられ、曲は幕を閉じます。約5分の曲です。

 

Three Musical Haikus for Band Op. in 1984-1987
 全楽章とも穏やかな音楽で構成されている作品です。これもまたメリロ初期の作品といっていいでしょう。癒し系の曲を書かせてもメリロは一番でしょう。約6分30秒の曲です。

 

Those Who Selve Op.249 in 1985
 この作品はメリロ初期の作品といっていいでしょう。冒頭からアメリカ国歌が流れ、マーチ風に曲は進んでいきます。途中、ドラムセットの伴奏のゆったりとした場面も出てきます。色々なメロディが聞こえてくる楽しい曲です。最後はアメリカ国歌で幕を閉じます。約3分の曲です。

 

MONTY! Op.791 in 1995
 愉快なメロディが始まると同時に聞こえてくる曲です。この曲にもあるメロディが流れてきます(あるメロディ=「Chapter0」に収録されている「Finest Hour」のフレーズ。しかし「American Knights」のフレーズではなく、その裏で木管楽器が奏でているフレーズ)。こうやってメリロの曲をじっくり聞いてみるといろんな発見があっておもしろいものです。約3分の曲です。

 

CLASS of 39' FIGHT SONG! Op.878 in 1999
 メリロのマーチ登場です!しかもとても楽しいマーチ!曲調はスーザ風といったところでしょうか。マーチ特有のトリオ部分もしっかり聞かせていて、トリオはピッコロのソロまであります(星条旗よ永遠なれの真似か!)。最後まで楽しい気分は抜けないままな曲です。約3分の曲です。

 

Just the Sax, Mam! Op.879 in 1999
 これまたおもしろい曲の登場です。ジャズ調で書かれているこの作品は、サキソフォンをフィーチャリングしています。ちょっとメリロらしくないフレーズをサキソフォン群が奏でていきます。こういう曲も書くのだと思わせてくれた曲でした。約2分20秒の曲です。

 

Break of the Ancient Code Op.869 in 1999
 この作品はアルバム「a Wish the World」にも収録されています。ハッジを思わせるようなメロディが流れます。短い作品ですが、いい曲です。「STORMJOURNEYS」(旅行)の最後を飾るぴったりの曲は約2分20秒の曲です。