記念すべきメリロの「STORMWORKS」シリーズ第1弾「Without Warning」です。
彼が1988年から1996年までに書いた作品を集めたアルバムです。
演奏はメリロ自身の指揮とこのアルバムの為に集められた特別な団体、
「ザ・ストーム・プレイヤーズ」による華麗な演奏です。
Without
Warning Op.805 in 1996 |
アルバム最初の曲は、組曲「Honor, Courage... Commitment」(名誉・勇気・誓約)の第1楽章に当たる作品です。短い楽章に詰め込まれた旋律は色々な楽器とともに表現されていきます。エレキベースの伴奏に乗せて・・。ちなみに第2楽章「Without Hesitation」は「STORMJOURNEYS」に、第3楽章「Godspeed!」(オプション)は「STORMWORKS Chapter3」にそれぞれ収録されています。約2分の曲です。 |
STORMWORKS Op.492
in 1988 |
メリロが管弦楽用スコア、交響曲第1番「S-MATRIX」を作曲した1988年に作曲したのがこの作品です。第3楽章編成で構成されており、各楽章には副題がつけられています。第1楽章は「嵐の時(Time
Storm)」で、終始流れるような激しさで曲は幕を閉じます。打楽器も多用し、金管楽器の見せ所いっぱいのそんな楽章になっています。第2楽章「嵐の前(Before
the Storm)」はホルンが主導権を握ります。ホルンのソロに木管楽器のフォローが入ります。嵐のやってくる前を見事に表現た曲であると思います。最後の楽章「嵐の中で(Into
the Storm!)」は、嵐のものすごさを表現している楽章であるといえましょう。この楽章に登場します数々の旋律は、これから先、生み出されていく彼の作品の中で使われていることがあります。かなり印象に残る楽章です。全曲を通して映画音楽を聞いている感じがすることでしょう。約11分の曲です。 |
O Come
Holy Night! Op.720 in 1993 |
今日の日本ではクリスマスが近づいてくるとよくクリスマスにちなんだ曲を演奏する風潮がありますが、この作品も最近ではクリスマスコンサートに取り上げられるなどして、ベストセラーにもなってしまっている曲です。随所にクリスマスソングが流れますが、綺麗にそのまま表現されているのではなく、少し音をはずしてみたり、リズムを変えてみたりと、おもしろく表現されています。約6分の曲です。 |
Giving Op.783
in 1995 |
冒頭から攻撃的旋律から始まります。低音のダークな感じを読み取れることでしょう。それが終わるとハープの伴奏にオーボエの美しい旋律が流れてきます。この旋律が色々な楽器に受け渡され、最終的にはまたオーボエへと戻ってきます。一時期、金管楽器の華やかな部分もありますが、また美しい旋律が聞こえてきたまま曲は幕を閉じます。全体的に穏やかな作品です。約6分の曲です。 |
Festival
of Light! Op.784 in 1995 |
「光のフェスティヴァル」と題されたこの作品は冒頭でホルンかトランペットによる奇妙な演奏表現に驚かされます。初め聞いたときは子供が歌っているのかと思いましたが、CD表記にはそんな名前はなく、よく聞いているうちにこれはホルンかトランペットだろうと気づかされたのでした。この作品もお祭らしく明るい曲です。聞いていてとても楽しい気分になりますよ。約7分30秒の曲です。 |
ERICH! Op.766
in 1994 |
メリロが尊敬している作曲家の一人にドイツ生まれのアメリカの作曲家、「エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(英語表記はコーンゴールド)」という人がいます。その人の為にメリロが彼の名前とって「エーリッヒ」というこの曲を書きました。第3楽章編成の作品で、第1楽章は「海での戦い」と題されたとおりの戦いの音楽です。この曲単曲だけでもいいと思うくらいの出来です。恐らくこの楽章は、コルンゴルトが作曲した映画音楽「シー・ホーク」を基にして書いているのでしょう。第2楽章は、「愛の贈り物」というタイトルの曲です。コルンゴルトへの想いがこの曲には綴られているのでしょう。この曲と第3楽章の「エピローグ」は続けて演奏されます。エピローグは1楽章のメロディの応用が聞かれ、華麗に幕を閉じます。約11分の曲です。 |
THE
FOUNTAINHEAD Op.763 in 1994 |
この曲はアルバムの中で最も長編の作品で第6楽章編成で構成されています。グレードも6という難しさも誇ります。ハワード・ロアークという名前の英雄を基に書いた作品であると思います。第1楽章と第2楽章はとにかくカッコ良い楽章で演奏者全員の技術をめいいっぱい生かした作品となっています。第3楽章ではとても美しい旋律が聞かれます。第4楽章も随所にカッコ良い旋律が聞かれ、第5楽章もダイナミックなサウンドが聞かれます。ラストの第6楽章はいかにもフィナーレという感じのする見事な楽章です。このアルバムの作品は何かをモチーフにした作品が多く、これはその中でも一番の傑作であると思います。日本ではあまり演奏されませんが、これからは是非演奏されるように願っています。約26分の曲です。 |
America
the BRAVE Op.798 in 1991 |
ラストの曲はアメリカを讃える曲です。メリロの故郷アメリカを勇ましく描いた作品です。全編通して聞くとそれほど派手ではないのですが、聞かせるところ、感動を誘うところなどはメリロらしいです。冒頭は静かに、アメリカの夜明けというような感じで始まります。その静かさから一時は攻撃的音楽にもなりますが、途中、アメリカを讃えるようなメロディが流れ、最後は壮大に幕を閉じます。約6分の曲です。 |