エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(英語表記:コーンゴールド)は、1897年に
オーストリアで生まれたロマン派最後の作曲家です。音楽評論家を父親に持つコルンゴルトは
早くから作曲家としての才能を現しました。11歳の時に作曲した無言劇「雪人形」は1910年、
ウィーン宮廷歌劇場で上演され、大成功を収めました。その後15歳までに作曲された作品は
それぞれ大成功を収めています。1920年に初演された歌劇「死の都」では世界的名声を得ました。
この作品を作曲した当時、彼は何と23歳という若さでした。かの有名な作曲家兼指揮者である
グスタフ・マーラーは彼の事を「天才だ!」と賞賛し、彼の師であるツェムリンスキーは1年半にして
「もはや教えることは何もない」と当時12歳のコルンゴルトに言っていました。
 1927年に作曲家された歌劇「ヘリアーネの奇蹟」はナチスによって「退廃音楽」の烙印を押され、
上演禁止になってしまいます。こうした経緯から1934年アメリカ合衆国のハリウッドに渡り、
数々の映画音楽作曲家として新たなデビューを飾りました。戦後彼はアメリカの市民権を得て
純音楽の世界へと戻っていきました。
 その後、彼によって生み出された音楽は大成功を収め、ロマン派最後を飾ることになりました。
そして1957年、コルンゴルトは新しい音楽の潮流に乗ることはなく、この世を去りました。

私はコルンゴルトの事をクラシック音楽界のスティーヴン・メリロと称したいと思います。


交響曲嬰ヘ長調作品40 & 組曲「空騒ぎ」作品11  【試聴(第2楽章)
演奏:ロンドン交響楽団 指揮:アンドレ・プレヴィン

 こんなにもホルンのカッコ良い交響曲を聞いた事が過去にあったでしょうか。そしてはじけんばかりの金管楽器!そんなバリバリのサウンドがこの交響曲のメインです。でも全体的には”暗い”です。吹奏楽作曲家メリロが参考にしたかもしれないメロディがこの曲に登場します。それは交響曲の第2楽章のホルンのフレーズ!まさしく「Wait of the World」の第1楽章のホルンじゃないですか!しかもカッコ良い!映画音楽みたいな交響曲を皆さんも聞いてみては?演奏は、スターウォーズを録音したイギリスの名門オーケストラ「ロンドン交響楽団」。指揮は以前、ロンドン交響楽団の音楽監督をもつとめた指揮者兼作曲家の「アンドレ・プレヴィン」。コルンゴルトにすごく思い入れのある彼の指揮は、楽譜の細部まで読み取った完璧な演奏です。まさしくこの曲の名盤でしょう!カップリングの組曲「空騒ぎ」はコルンゴルトの若かりし頃の佳品。交響曲ほどの厚みは無いですが、シェイクスピアを題材にしておもしろく仕上げています。

歌劇「死の都」
演奏:スウェーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団 指揮:レイフ・セーゲルスタム
 コルンゴルト23歳の作品にして超有名曲!二時間のオペラ、マジで感動しました!(泣)オペラを買うのはこれで2度目なんですけど、このオペラが一番最高でした。現代の作曲家とは思えない味わいがありました。歌詞&台詞は全部ドイツ語なんですけど、言葉が分からなくても自分には何か伝わるものがありました。スティーヴン・メリロが彼の音楽を愛する理由がこのオペラを聞いて分かりました。メリロもコルンゴルトのメロディに心を打たれたのだと・・・・。この「死の都」は全然難しくはなく、聞いていてとても奥深い気持ちの良い音楽でした。演奏も上手い!何といってもライヴ録音。さすが彼はクラシック音楽界のスティーヴン・メリロと言わざるを得ないでしょうね。皆さんに自身を持ってオススメする最高のオペラです!演奏時間は約2時間5分です。

交響組曲「シー・ホーク」〜コルンゴルト映画音楽集
演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:チャールズ・ゲルハルト
 オペラに泣かされた後に聞いたのがこの曲です。とてもパワフル!そしてワイルド!圧巻でした。冴える金管楽器、特にホルンが聞き物(ホルンはマジでメリロ風)ですね。オーケストラなのに何打この金管軍団は!って思う作品の数々。金管楽器を吹いている方に特にオススメしたいです。彼が得意とする泣かせるフレーズもいっぱい出てきます。タイトルにもなっている「シー・ホーク」の組曲なんかは特にオーケストラが(特に金管が)大爆発しちゃってます。聞いて大興奮でした。他にも数々の映画音楽が収録されています。全部、カッコ良いですよ。吹奏楽は好きだけどオーケストラは苦手という方、だまされたと思ってコルンゴルトを聴いてみちゃってください。絶対好きになると思いますよ。もうとにかく一押しです!