僕が中学生の時から暇さえあれば聞いていた「NHK-FM」のクラシック番組。NHK-FMはかなりクラシック音楽を取り上げる番組が多いのです。僕が中学生の時、所属していたオーケストラでモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」を演奏するということになって(僕は人生初のTimp.)、当時、ピアニストの清水和音さんとNHKの坪郷佳英子さんが司会をしていた「クラシック・リクエスト」と言う番組にジュピターをダメもとでリクエストしてみたのでした。すると送ってから半年後にジュピターがその番組から流れたのでした。もちろん僕の書いたコメントも(坪郷さんに)読んでいただきました。それからと言うもの、NHK-FMのクラシック番組は欠かさずチェックするようになりました。そして大学へ行くようになってからは帰りが遅くなったということもあって、次第に聞けなくなっていきました。そして最近、また時間があるときはチェックをするようになりました。特に2004年は今までになくチェックした年でしょう。

 さて、このコーナーですが、僕がチェックして録音した演奏会音源の感想を載せていきます。録音した音源が欲しい方はBBSに「音源希望」と書いてくだされば検討後、差し上げます。違法にならぬ程度に・・・。

 


NHK交響楽団 定期演奏会の模様はこちら↓
NHK交響楽団 定期演奏会 レヴュー (現在鋭意製作中)

 

 

演奏された年の順でご紹介します。

- 2003 -

フィンランド放送交響楽団 演奏会
指揮:ユッカ・ペッカ=サラステ

1.交響的バラード「地方長官」作品78 (P.I.チャイコフスキー)

2.「亡き子をしのぶ歌」 (G.マーラー)

3.交響曲第4番ヘ短調作品36 (P.I.チャイコフスキー) 試聴する

02.15
 サラステが故郷のフィンランド放送響を振った渾身のライヴ!日本ではあまり演奏されないチャイコフスキーの交響的バラード、そしてマーラーの歌曲、金管楽器が見せ所満載のチャイ4。どれも素晴らしい演奏だった。特にチャイ4は圧巻!金管楽器が素晴らしく鳴り響く演奏である。試聴部分はチャイ4の終楽章から。
★★★★

 

モントリオール交響楽団 演奏会
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

1.ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品35 (F.メンデルスゾーン) Vn:L.カヴァコス

2.交響曲第4番ホ長調WAB.104「ロマンティック」 (A.ブルックナー) 試聴する

04.17
 デュトワ以外でこのオケの演奏を聞いたことがなかったし、ブルックナーも聞いたことがなかったので貴重な演奏となった(自分の中では)。カヴァコス(初耳)の演奏するメンコンは実にクレイジーで妙なところにアクセントをつけたりするものの、何の違和感もない美しい演奏。そして肝心のロマンティックは何ともそのテンポの速さに驚いた。印象に残っているのはホルンよりもトロンボーン。ロマンティックでこれほどまでにトロンボーンがバリバリと鳴った演奏は初めてだった。試聴部分はロマンティックの第3楽章から。
★★★★★

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:サー・サイモン・ラトル

1.交響曲第67番ヘ長調 (J.ハイドン)

2.交響曲第90番ハ長調 (J.ハイドン)

09.21
 ラトルが手兵ベルリン・フィルを振った演奏会から。この日はハイドン一色。ベルリン・フィルの巧すぎる弦楽器には鳥肌が立つ。そしてどこにもズレなし!第90番は終わりそうで終わらない面白い交響曲だった。
★★★★1/2

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:ニコラウス・アーノンクール

1.交響曲第3番ニ長調 (F.シューベルト)

2.交響曲第4番ハ短調「悲劇的」 (F.シューベルト)

10.23
 さてこちらはアーノンクール。ドイツ音楽を得意としてきた彼だが、今回はシューベルト。第3番は初耳な曲だったが、シューベルトの若さに満ちた素晴らしい作品。そして第4番は軽やかな演奏でかなり好感が持てた。あいかわらず弦楽器は最高の一言。
★★★★

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:サー・サイモン・ラトル

1.交響曲第7番ハ長調作品125 (J.シベリウス)

2.交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」 ”ベーレンライター版” (F.シューベルト) 試聴する

11.05
 さてまたラトル。今回は北欧vs独逸。単一楽章の交響曲はシベリウス最後の作品で、短い中にもW楽章分の内容が詰まっている。シューベルトのグレートはライヴとは思えない完成度。ここでも弦楽器、見事である。試聴部分はグレートの終楽章から。
★★★★

 

スウェーデン放送交響楽団 演奏会
指揮:トゥガン・ソフィエフ

1.序曲「ロシアの復活祭」作品36 (N.リムスキー=コルサコフ) 試聴する

2.ピアノ協奏曲第1番嬰へ短調作品1 (S.ラフマニノフ) Pf:M.プレトニョフ

3.交響曲第1番ヘ短調作品10 (D.ショスタコーヴィチ)

12.05
 北欧スウェーデンを代表するオーケストラの一つである、スウェーデン放送響の演奏会から。指揮はまだ20代というソフィエフ。若いからといって甘く見てた自分が間違いだった。1曲目のロシアの復活祭から度肝を抜かれてしまった。安定したテンポもさることながら全くズレ無しの演奏。ブラスがめちゃめちゃ凄い。ラフマニノフのピーコンも指揮者としても活躍するプレトニョフの華麗なピアノが聞ける。メインのショスタコーヴィチの第1番も凄い。やっぱりテンポが速い。そしてブラスは鳴りに鳴り捲る。ソフィエフ・・・・、これから凄い存在になりそうな予感・・・。試聴部分はロシアの復活祭の圧巻のコーダから。
★★★★★

 

 

- 2004 -

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:サー・チャールズ・マッケラス

1.ピアノ協奏曲第22番変ホ長調 (W.A.モーツァルト) Pf:内田光子

2.交響的変奏曲 (A.ドヴォルザーク)

3.シンフォニエッタ (L.ヤナーチェク)

01.22
 年が明けた2004年最初のベルリン・フィルは指揮者にマッケラスを迎えてお得意のスラヴ物とモーツァルトのピーコン。内田光子のモーツァルトは相変わらず巧いなぁ、と思った。自分が聞いたことがあるのはジェフリー・テイトと録音したモーツァルトのピーコンだった。そしてあんまり演奏されないドヴォルザークの交響的変奏曲とマッケラスと交流のあったヤナーチェクの代表作、シンフォニエッタ。やはりお国モノは巧すぎる。しかもベルリン・フィルだから余計に巧いのである。
★★★★1/2

 

名古屋フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会
指揮:大勝秀也

1.交響曲第1番「指輪物語」 作品1 (J.デ=メイ)

2.組曲「カルメン」 (G.ビゼー)

02.05
 吹奏楽で人気のヨハン・デ=メイの交響曲第1番「指輪物語」の管弦楽版日本初演音源。僕の地元のオケ、名フィルの久々の名演奏。僕はこれを聞いて吹奏楽版より管弦楽版の方が良いと思った。後は組曲「カルメン」。これはごく普通な演奏だった。
★★★★

 

ベルギー国立管弦楽団 演奏会
指揮:ミッコ・フランク

1.ヴァイオリン協奏曲第2番 (B.バルトーク) Vn:L.ジョセフォヴィッツ

2.組曲「展覧会の絵」 (M.ムソルグスキー/M.ラヴェル)

03.05
 若手の指揮者特集で取り上げられたベルギー国立管弦楽団演奏会。指揮のミッコ・フランクはまだ20代。しかしその彼が振った展覧会の絵の解釈は若造とは思えないほどの凄さ。リーラ・ジョセフォヴィッツのヴァイオリンも大変美しく伸び伸びとしていた。二人ともこれからどんどん注目されていくだろう。
★★★★

 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:リッカルド・ムーティ

1.交響曲第35番ニ長調 (W.A.モーツァルト)

2.世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」 (C.オルフ)

05.20
 ウィーン・フィルによく客演するムーティがお得意のモーツァルトとオルフを振った演奏会。ムーティのモーツァルトは昔、フィリップス・レーベルから出ていたのでさぞかし何度も演奏しているのだろう。ウィーン・フィルのモーツァルトは何も言うこと無し。後半はオルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」。ウィーン少年合唱団までも起用した何ともゴージャズな演奏。アメリカのオケには到底表現も出来ないほどの美しく、そして巧すぎる演奏だった。
★★★★★

 

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:サー・チャールズ・マッケラス

1.ピアノ協奏曲ト短調作品33 (A.ドヴォルザーク) Pf:P.L.エマール

2.シンフォニエッタ (L.ヤナーチェク)

05.25
 マッケラスとチェコ・フィルの演奏会から。ここでもお得意のヤナーチェクを披露した。ベルリン・フィルよりは金管を抑えた演奏だが、それほど派手系じゃないので聞きやすいし、腐るほどシンフォニエッタを演奏してきた楽団なのでこの曲に関してはベルリン・フィルより上かと。ピエール・ロラン・エマールはつい先日(2004.12.08)、N響定期に登場したフランスのピアニスト。テクニックは素晴らしく、ドヴォルザークのピーコンには素直に感動してしまった。
★★★★1/2

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:クラウディオ・アッバード
1.交響曲第6番イ短調「悲劇的」 (G.マーラー)
06.03
 この演奏会のレヴューはこちらのページを読んで下さい。
★★★★

 

北ドイツ放送交響楽団 演奏会
指揮:ケント・ナガノ
1.交響曲第2番ハ短調「復活」 (G.マーラー) 試聴する
07.11
 ベルリン放送交響楽団の音楽監督を務め、次期、モントリオール響の音楽監督にも就任するケント・ナガノと北ドイツ放送響とのマーラーの復活。それほど重くない演奏であっさり系の復活ととれた。実はあんまり復活を聞いたことがないので、曲に関してどうこう言えないが、演奏はさすがドイツのオケだけあって、上手い。ホルンは特に上手かった。試聴部分は第3楽章から。(この部分はロット作曲の交響曲第1番の第3楽章に非常に類似している。もちろん、マーラーが真似した方だけど。)
★★★★

 

BBCウェールズ・ナショナル交響楽団 プロムス2004
指揮:尾高 忠明

1.「トゥイル・バイ・トワイライト」 (武満徹)

2.チェロ協奏曲ロ短調 (A.ドヴォルザーク)

3.「シェヘラザード」(M.ラヴェル)

4.交響詩「ローマの松」 (O.レスピーギ) 試聴する

08.06
 2004年度のプロムスから。日本の尾高が客演指揮者としてよく振っているBBCウェールズ・ナショナル響の演奏。特に圧巻はラストのローマの松。バンダはもちろんのこと、全く音の聞こえない部屋でモニターを見ながらソロを吹くトランペット奏者など、気合の入れ方が違う。ホールもロイヤル・アルバートで音も抜群に良い。これが本当にライヴなんて思えないような凄い演奏。試聴部分は興奮した観客の拍手が入った、「ローマの松」からアッピア街道の松。
★★★★★

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮:サー・サイモン・ラトル

1.管弦楽の為の変奏曲 (A.シェーンベルク)

2.交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱付」 (L.V.ベートーヴェン)

08.28
 ラトルとウィーン・フィルの第9は僕的に変な解釈で面白かったが、今回はというと、そのウィーン・フィルとなんら変わっていない。テンポは遅いし、変なところに強弱をつけるし。しかし天下のベルリン・フィル。そしてラトル。音楽監督となったラトルがこれからベルリン・フィルとどんな音楽を作っていくのか、そんな期待を膨らませてくれた演奏だった。
★★★★

 

ニューヨーク・フィルハーモニック 「NHK音楽祭2004”ラスト・シンフォニー”」
指揮:ロリン・マゼール

1.歌劇「タンホイザー」序曲 (R.ワーグナー) 試聴する

2.ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 (M.ブルッフ) Vn:ユラ・リー

3.交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界から」 (A.ドヴォルザーク)

10.21
 NHK音楽祭2004から。今年のタイトルは「ラスト・シンフォニー」。偉大なる作曲家の最後のシンフォニーを世界各地から集まったオーケストラが演奏するというもの。この日はロリン・マゼール率いるニューヨーク・フィル。1曲目がタンホイザーの序曲となっているが、これは変更になった曲である。本当はアイヴスの「ニュー・イングランドの3つの場所」と言う曲だった。でもマゼールが得意としているワーグナーならば僕はこっちでよかったと思う。いざ演奏はと言うと、やっぱり上手い。アメリカのオケでもドイツ的聞こえる。ユラ・リーのブルッフのVn協も若手ながらちゃんとした解釈を持った演奏。メインの新世界はマゼールにしては珍しく遅いテンポ。最近のマゼールは遅いテンポの傾向が多く見られる。年を取った所為かな。若い時は非常に速かった。でも4楽章は速い方。3楽章が終わってすぐに突入するところもマゼールの演出によるもの。やっぱりアメリカのオーケストラ。ブラスはしっかり鳴っていた。試聴部分はタンホイザー序曲の冒頭のホルン。
★★★★1/2

 

ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 「ハイティンク75歳記念演奏会」
指揮:ベルナルト・ハイティンク

1.歌劇「オベロン」序曲 (C.M.ウェーバー)

2.交響詩「ツァラトゥストラはかく語り気」 (R.シュトラウス)

3.交響曲第7番イ長調 作品92 (L.V.ベートーヴェン) 試聴する

10.28
 ハイティンクももう75歳かぁ・・・。ということでベルナルト・ハイティンク75歳記念演奏会が開かれた。曲はドイツ物ばかり。しかもツァラトゥストラ〜はドレスデン国立管が初演した曲だと言うこともあって、完璧なる演奏をしてくれている。ウェーバーのオベロン序曲も何かベートーヴェンの曲っぽく聞こえる。メインのベートーヴェンの第7番はホルンがむちゃくちゃ控えめで、全然目立たない。でも弦楽器はすごーく良い。ホルンにはもうちょっと鳴ってほしかったなぁ。試聴部分はホルンのあまり聞こえないベト7の第1楽章から。
★★★★

 

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 「NHK音楽祭2004”ラスト・シンフォニー”」
指揮:マリス・ヤンソンス

1.バレエ音楽「ペトルーシュカ」 (I.ストラヴィンスキー)

2.交響曲第6番ロ短調 「悲愴」作品74 (P.I.チャイコフスキー) 試聴する

11.12
 ニューヨーク・フィルと同じNHK音楽祭2004から。この日はリッカルド・シャイーに代わって音楽監督に就任したばかりのマリス・ヤンソンスがペトルーシュカと悲愴を披露した。音楽監督になったばかりだというのに、このオケの隅々まで知り尽くし、完全にコントロールしている。上手い!ペトルーシュカで聞こえる木管楽器の上手さ、悲愴で少し控えめだが打ち鳴らされる金管。あとこのオケの一番よいところ、弦楽器の美しさ。これをまとめて聞けた演奏会だったと思う。試聴部分は悲愴の第3楽章のコーダから。
★★★★★