フェルレル・フェルランは1966年バレンシア生まれ、早くからピアノ、打楽器、室内楽などを学び、スペイン各地でリサイタルや室内楽のコンサート、国内のオーケストラとの協演を行ってきました。現在は作曲家、ピアニスト、指揮者として活躍するとともに、カステリョン音楽院やバレンシア高等音楽院で作曲や伴奏法の講師を務めています。作曲家としては室内楽、合唱、吹奏楽に作品があり、吹奏楽作品のいくつかはオランダのモレナールなどから出版されCDもリリースされています。イタリアのコルチアーノ国際吹奏楽作曲コンテストで2000年から3年連続で入賞するなど、今後の活躍が期待される作曲家の一人です。フェルランの音楽の魅力はとにかくダイナミックで本人も打楽器を学ばれたと言うこのなので、打楽器の使い方はかなり激しいものがあります。メリロ好きは必ず好きになるでしょう。(私も・・・。)


<フェルランの作品> Ferran Works

交響曲第2番「キリストの受難」

<アルヘミス> ”Algemiz”
演奏:ブニョール・ラ・アルティスティカ交響吹奏楽団
指揮:ヘンリー・アダムス
 アラビア語でムーア人の集落を意味し、バレンシアの南にある街アルヘミシの名の由来になっています。オーボエ属の一種であるドゥセーヌと吹奏楽のために書かれた「アルハマ」を改作したこの曲は、この地で起こった二つの歴史的な出来事を描いたもので、「スクロ河の戦い」「征服者の踊り」の二つの部分からなるエキゾチックな雰囲気を持つ異色の作品です。

 

<交響曲第2番「キリストの受難」> ”Symphony No.2 LA PASSIO DE CRIST”
演奏:ブニョール・ラ・アルティスティカ交響吹奏楽団
指揮:ヘンリー・アダムス
 キリストの誕生から磔刑までを音楽で描いたもので、3つの楽章からなる演奏時間約40分の壮大な作品です。キリストの受難と磔刑を音楽で表現する受難曲は、バッハの例を挙げるまでもなく聖書の福音書などに基づいた声楽曲が多いのですが、フェルランは声楽を用いず吹奏楽の機能を駆使してキリストの生涯を自由なスタイルでドラマチックに描きました。「降誕、ヘロデ王の幼児大虐殺、洗礼」「荒野の三つの誘惑」「エルサレムの寺院への入場、最後の晩餐、逮捕、判決、磔刑、希望」と名付けられた三つの楽章で構成され、スケールの大きい色彩豊かで壮麗な歴史絵巻となっています。この公式CDの他に日本を代表する大学吹奏楽団、「近畿大学吹奏楽部」がこの大曲に挑んだライヴCDにも収録されています。指揮は東京佼成ウィンドオーケストラの常任指揮者、「ダグラス・ボストック」です。

 

「セレモニアル」

<交響組曲「セレモニアル」> ”「Ceremonia」Symphonic Suite for Band”
演奏:アレグロ吹奏楽団
指揮:フェルレル・フェルラン
 交響組曲「セレモニアル」は、スペインの吹奏楽団バンダ・プリミティバ・デ・パイポルタの新しい本拠地アウディトリオ・フロリダの完成を記念して書かれた作品で、華やかなファンファーレによる「序奏」、叙情的なメロディーが美しい「行進」、エネルギッシュなクライマックスを迎える「踊りと終曲」の3曲からなります。前述のコルチアーノ国際吹奏楽作曲コンテストで2001年の3位を受賞した作品です。第3楽章はメリロのゴッドスピード!みたいな軽快さでとてもパワフルでカッコいいですよ!

 

交響曲第1番「砂漠の嵐」

<交響曲第1番「砂漠の嵐」> ”Symphony No.1 Desert Storm”
演奏:ブニョール・ラ・アルティスティカ交響吹奏楽団
指揮:フェルナンド・ボネート
 湾岸戦争を題材に、タイトルは多国籍軍の作戦名から取られています。激しい戦闘や戦争下のイラクやクウェートの様子が、フェランが得意とするゴージャスなオーケストレーションで描かれています。2000年のバレンシアの国際吹奏楽コンクールのために委嘱され、「クウェート侵攻」「消灯の鐘」「多国籍軍の進軍」「バスラの戦闘」と題された4つの楽章からなる演奏時間20分を超える交響曲です。

 

バンド・フィーバー

<交響組曲「ミティカヴェンテューラ」 ”「Miticaventura」 Symphonic Suite for Band”>
演奏:ヨハン・ヴィレム・フジョー・カペル
指揮:デイメン・ボトマ
 この曲はスペインにある「テラ・ミィテイカ」というテーマパーク(日本のディズニーランドみたいなところ)を題材に書かれた作品。フェルランの特徴である、派手なサウンド作りがここで大爆発しているようです。
 モデルとなったテーマパークは、それぞれ「イベリア」、「ギリシャ」、「ローマ」、「エジプト」の古代文明をイメージした4つのエリアに分かれ、この曲もそれにしたがって同名のタイトルが付けられた4つの楽章から構成されています。むちゃむちゃカッコよかったですよ!これはオススメです。