カール・ヴィトロックは1966年、オランダ生まれ。日本では全くの無名作曲家に近いので、詳細は分からりませんが、曲作りは立派です。「イーストコーストの風景」を作曲したN.ヘスや「ガリバー旅行記」等を作曲したB.アッペルモントの音楽が好きな人は、はまる事間違いなし。あと、曲想がものすごく映画音楽的なので、映画音楽ファンでも絶対気に入ると思います。(私も即ハマッた!)
 この作曲家も大注目の作曲家です。この手の音楽はとても好き!


<ヴィトロックの作品> ”Wittrock Works”

カール・ヴィトロック作品集 「フラットヘッド湖の伝説」
演奏:ライプティッヒ放送吹奏楽団
指揮:レクス・ヴァン・ディーペン

 

「フラットヘッド湖の伝説」 ”The Legend of Flathead Lake”
 ネス湖と同じモンスター伝説があるアメリカ・モンタナ州の湖をテーマに書かれた作品で、日本では全然知られてないけど、ヨーロッパでは人気急上昇中の作品。聞いてみれば人気が出るのも分かります。凄く良い!ホルンの使い方を含め、金管楽器の華やかさがたまりません。後半に出てくるトロンボーンのワルツもなかなか良いし、とにかくメロディアスな作品を書く人だなと思いました。早く日本でも人気になって欲しい!本当に凄くいい曲だから!やばいよ、この作品。約14分の作品です。

 

「ロード・タラモア」 ”Lord Tullamore”
 「タラモア卿」の事を書いたダンサブルな作品。冒頭から凄まじい打楽器のリズムと金管楽器のファンファーレが登場します。それが終わると早めのダンス調のフレーズが始まります。(ちょっとメロディがケルト風)それが少しの間繰り返されると、静かな中間部へ突入します。トランペットとオーボエのメロディが非常に美しいです。後半は前半出てきたダンスに似たメロディでスタートします。(これまたケルト風)メロディ(・∀・)カコイイ!!。最後はこのダンスで締めくくられます。コンクールには最適な曲でしょう!ブラス・バンド版も出ているようです。約8分の作品。

 

「オルナメント」 ”Ornamento”
 「オルナメント」は、ドラムセットも入るコラールです。聞いて驚きました。(セットが入ってるなんてw)木管楽器が泣かすメロディを演奏していきます。ヴァンデル=ローストの「カンタベリー・コラール」、ドスの「セント・フローリアン・コラール」に次ぐ傑作になって欲しいものです。約2分強の作品です。

 

「アドミラル・スピリット」 ”Admiral Spirit”
 これも愉快な作品です。中学生でも演奏できそう・・・。冒頭からマーチっぽく始まり、途中からメロディアスな場面が登場します。本当に昔コンクールで演奏した曲の形式にそっくり!「急-緩-急」の典型的な形なんだけれども、メロディがとても素晴らしいので、新鮮な形で聞けます。少人数バンドでも問題なし。この曲も好きになりました。ヴィトロックって何でも書けるのねw約6分の作品です。

 

「太陽のファンファーレ」 ”Fanfare for the Sun”
 トランペットのファンファーレから幕を開ける爽快な曲です。スネアドラムの伴奏に乗ってホルンの勇ましいメロディ(カッコいい)が登場します。間に挟まれる木管楽器の優雅なメロディも良いです。クライマックスはトロンボーンによって最初のファンファーレが繰り返され、それは別の金管楽器に引き継がれて、幕を閉じます。約3分の作品です。コンサートのオープニングにはもってこいの作品でしょう。

 

「スパニッシュ・ダンス」 ”Spanish Dance for A.Saxophone or English Horn”
 怪しげな冒頭から始まります。ここからアルト・サックスが主旋律の主導権を握ります。メロディはタイトル通り、スペインチック。分かりやすくて楽しいメロディです。その部分が終わると、アルトサックスのソロ的部分が登場します。何ともまぁ、甘いメロディなんでしょう。そのメロディにホルンが優雅に裏のメロディを歌います。美しすぎる!再び冒頭に戻り、繰り返されます。優しくそれほど派手でもないスペインのダンスです。約8分の作品です。

 

「ティグナレ」 ”Tignale”
 軽い序奏から始まり、トランペットが爽快なメロディを奏でます。分かりやすく、親しみやすい。昔の映画音楽みたいなサウンドがここにあります。メロディの作り方は、R.シェルドン(中学生なら誰でも知ってる簡単で優しい曲を作る人気作曲家)の曲に似てるような気がします。中間部のオーボエ・ソロもどこかに懐かしさが感じられ、しみじみとした気分にさせてくれます。映画のフィナーレを沸々と感じさせてくれるような中間部後半の盛り上がり方も素晴らしい。その場面の後、テンポはもとに戻り、冒頭のメロディが登場します。少し進むと、フルートとトランペット、金管楽器の優しいメロディがあり、中間部の優雅な部分がまた展開されます。そして曲は静かに幕を閉じるのです。約10分強の作品です。

 

「アフリカン・コネクション」 ”The African Connection”
 冒頭のメロディはどっちかって言うとアフリカじゃなく、エジプトって感じがします。でもすぐ始まるラテン楽器による伴奏でアフリカンかもって思えます。(でもなんかメロディはケルト風に聞こえるんだな。)中間部に入るとコラール的主題が登場しますが、それはラテン楽器の特殊なリズムに打ち消されます。そこでは変なおっさんの声「ハゥ〜ι(´Д`υ)、ハゥ〜ι(´Д`υ)」(w)というのがボソボソッと入って、面白いです。民族音楽っぽいところです。アフリカンよりインディアンの集落の祭的サウンドかな。ちょっと酔っ払ったトランペットのソロも聞かれます。最後はそのお祭騒ぎのまんま盛り上がって終わります。すげー楽しい曲です!
約6分の作品です。

 

「アンタルクティカ」 ”Antarctica”
 またまた怪しげな雰囲気から始まります。しばらくするとトランペットのソロが始まり、テンポを徐々に上げていきます。チャイニーズ・ブロックの怪しいリズムも良い。その後すぐにスネアドラムのリズムに乗ってトロンボーンが主旋律を吹き、木管楽器、トランペットと受け継がれていきます。中間部が終わると再び冒頭トロンボーンに演奏されたメロディが木管楽器によって演奏されます。そしてスネアドラムの弾む伴奏に乗って曲は終わります。約8分の作品です。