1961年、アメリカのミルウォーキーに生まれたマイケル・トークは今もなおパワフルな音楽を生み出し続けているアメリカ屈指の作曲家です。1982年に初めて作曲した「リータス」や指揮者、ヒュー・ウルフに捧げられた「オーケストラの為の光の変化」、そして2004年の新作「シンフォニックバンドの為の<四輪駆動>」など面白いタイトルが付けられた作品をいくつも発表しています。まだまだ若くて、これからもっともっと期待される作曲家の一人といえます。

 

「ラプチャー」 (打楽器と管弦楽の為の協奏曲)

 2001年に作曲された”狂喜”の意味を持つ「ラプチャー」は、パーカッションとオーケストラのために書かれた作品です。現代版バルトークの「打楽器とチェレスタの為の協奏曲」と言えましょう。3楽章編成で各楽章にはそれぞれその楽章で登場するパーカッションの種類が名づけられています。この作品ではオーケストラが完全にサポートにまわり、主人公はパーカッションです。

 第1楽章「ドラムス&ウッズ」。スネアやタム、ウッドブロックなどの小物系がメインの楽章。曲が始まった時から「ドカン、ドッカーン!」って休む暇なく叩かれまくっています。そんな感じの音楽が約11分続きます。オーケストラの奏でる旋律といえば、はっきり言って「無い」に等しいです。別にオーケストラじゃなくても良いのでは?と思ったりしますが、そこは現代音楽の特徴であると考えられるでしょう。

 第2楽章「マレッツ」。この楽章は前者とは逆で静か〜な楽章。木琴やらヴィブラフォンやらが主人公。あぁ癒されます。このまま眠ってしまいそうです。弦楽器も切ない音を出すんだなぁ、これが。この調子が約6分続きます。うとうとし始めると・・・。

 第3楽章「メタルズ」。うとうと気分をいきなり吹っ飛ばしてくれる最終楽章です。この楽章で1楽章の二の舞がやってきます。メタル楽器。トライアングルやようは金属系楽器がジャンジャン、腐るほど登場します。あちこちで「カキーン、コキーン」って鳴りまくり。シンバルも登場します。本当にお祭騒ぎ!なんて熱い曲なんだ。クライマックスまでこの調子。ラストはパーカス軍団もヒートアップ!お祭気分の真っ只中、曲はいきなり終わります。

 自分もパーカッションをやっている身としてこの曲を聞いたとき「すっごーい!」って思いましたよ。パーカッションを担当しているコリン・カリー(28)はよく一人でこんな多数の楽器を叩けたなぁって感心させられてしまいました。テクニックは最高だし、カリー氏はいまや世界中で引っ張りだこのパーカッショニスト。2004年は何と来日するそうです。行きたいなぁ。私が尊敬するパーカッショニスト第1人者がこのカリー氏です。上手いの一言!

参考音源:コリン・カリー(パーカッション)
マリン・オールソップ指揮 & ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団

 

アン・アメリカン・アブロード
 2002年に作曲されたこの作品は「外国のアメリカ人」という意味の作品です。約21分もある交響詩的作品でしょう。アメリカの作曲家らしい明るく楽しい旋律がいたるところに存在しています。
参考音源:マリン・オールソップ指揮 & ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団