1875年に生まれ1937年に没したフランスを代表する作曲家、モーリス・ジョセフ・ラヴェル。
管弦楽の魔術師といわれ、たくさんの曲が愛されてきました。
1930年初頭にラヴェルは事故に会い、それ以降亡くなるまでの7年間は作曲できなかったと
言われています。1928年に作曲した「ボレロ」は最後のバレエ音楽として、ラヴェル作品の中では
ダントツの人気を誇っています。
私にとってラヴェルはクラシック音楽というものを教えてくれた師であります。
私がクラシック音楽を聴くきっかけとなった曲は、「ボレロ」でした。
3歳の時に初めてボレロを聞き、クラシック音楽というものにのめり込んでいったのです。

今更彼の曲に関しては説明なんて要らないでしょう。
とりあえずここでは、私が聞いたラヴェル作品の中で特に好きな作品と、
数十年とわたって集め続けた「ボレロ」のCDの中からオススメ音源を紹介することにしましょう。
ボレロの音源はLPとCDをあわせて60枚くらいです・・。


バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲
演奏:バーミンガム市交響楽団&合唱団 指揮:サー・サイモン・ラトル
 もはや説明など要らないラヴェルの中で有名なバレエ音楽の一つです。合唱まで加わる大編成の音楽です。第1組曲と第2組曲からなり、巷では第2組曲のほうが有名でよく演奏されています。ここで紹介する演奏は、ベルリン・フィルの音楽監督となったサイモン・ラトルのバーミンガム市響時代の名盤です。落ち着いたテンポで曲は進み、ラトルのはきはきとした指揮が浮かぶような演奏です。管楽器のアンサンブルも見事で、特に第2組曲でその威力を発揮します。超有名バレエ音楽のラトル盤を皆さんも聞いてみてください。

 

舞踏音楽「ラ・ヴァルス」、スペイン狂詩曲、道化師の朝の歌
演奏:シンシナティ交響楽団 指揮:ヘスス・ロペス・コボス
 ラヴェルは一時期、ウィンナワルツに憧れていました。その憧れを曲にしたのが「ラ・ヴァルス」です。ヨハン・シュトラウスが作り出すようなワルツではなくて、ラヴェルのワルツは大編成であることです。この作品も管楽器が特に美しく、途中に出てくるフルート・ピッコロのソロは感動モノです。スペイン狂詩曲もまたラヴェルの代表作で、スペイン音楽からインスピレーションを得た様な作品になっています。この曲は吹奏楽でも演奏される事が多く、特に終曲の「フェリア(祭)」は一番の人気を誇り、演奏回数も一番多いのです。「道化師の朝の歌」はラヴェル作品の中で小ぶりな曲ですが、ラヴェルらしい楽しい作品になっています。紹介する演奏はアメリカのシンシナティ交響楽団のハキハキとした演奏です。指揮はロペス・コボス。彼の指揮でのラヴェルは大変リズミカルになっています。スペイン狂詩曲が一番の聞き物です。

 

ピアノ協奏曲ト短調、左手の為のピアノ協奏曲
演奏:ミネソタ管弦楽団 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー
 ラヴェルのピアノ協奏曲はあの伊福部昭が作曲した「ゴジラ」の原曲として有名な曲です。あのゴジラのテーマは第3楽章から取られました。ラヴェルのピアノ協奏曲は明るく楽しい作品です。全体的に短い曲ですが、通して聞いてもあんまり短いと思いません。これも名曲です。続いてもう一つのピアノ協奏曲はラヴェルの知人に戦争で右手を失ったピアニストがいました。その人の為に書かれたのが「左手の為のピアノ協奏曲」です。全曲左手のみで弾けるように書かれています。これを考えたラヴェルは凄い。実際自分も左手で弾いたのでしょうか。演奏はアメリカの名門「ミネソタ管弦楽団」と当時音楽監督だったスクロヴァチェフスキーによるものが私の中ではベストでした。

ボレロ(Bolero)

ここから私のお気に入りのボレロの名演奏をご紹介します。

 

演奏:クリーヴランド管弦楽団 指揮:クリストフ・フォン・ドホナーニ
 今のところ私が一番好きな演奏ですね。速めのテンポを取り、最後までテンポを変えず、突き進んでいきます。スネアの音も良い音してます。さすがアメリカの名門オーケストラの演奏は一味違います。未だに飽きの来ない、そして燃える演奏です。

 

演奏:パリ音楽院管弦楽団 指揮:アンドレ・クリュイタンス
 まだ10代にならない頃、父が出張先で買ってきてくれた思い出の品です。LPプレーヤーで初めて聞いたときの感動といったら!この演奏はいろいろな音楽評論家の方々が一番に推薦しているボレロの超名演奏です。テンポは少し遅めですが、きっちりと纏め上げていて乱れることを知らないかのよう・・・。本場フランス、パリ音楽院のオーケストラのこの演奏をまだ聞いたことのない方、必ず聞いてみてください。全く古さを感じさせない演奏ですから。

 

演奏:ロンドン交響楽団 指揮:マイケル・ティルソン・トーマス
 イギリスの名門オーケストラ「ロンドン交響楽団」はボレロの録音回数がトップのオーケストラでもあります。その数多い録音の中から私はティルソン・トーマスの知から漲る演奏を紹介します。初顔合わせの彼が良くぞここまでこのオーケストラを纏め上げたという感じがする名演奏です。コーダも燃えまくります。一度聞いてみてください。

 

演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ロリン・マゼール
 いまや作曲家としても有名になったマゼールの指揮による、ウィーン・フィルの白熱したボレロです。しかもウィーン・フィルはあれだけの歴史を持つオーケストラなのに、ボレロを録音したのがこれが初めて。ライヴなどでは、イタリアの指揮者「リッカルド・ムーティ」(2004年ニューイヤー・コンサートの指揮者)の演奏があったくらいで、本格録音はこれが最初です。そしてこのボレロは普通のボレロではなく、マゼールがとちくるったかのように途中でテンポを変えまくるという迷演奏でもあります。おもしろいボレロで尚且つウィーン・フィルの演奏ときたもんだ。演奏はさすがに上手いです。これもオススメです。

 

演奏:西春フィルハーモニー・オーケストラ 指揮:竹本義明
 このCDは未発売です。別にオススメではないのですが、この演奏は私が1stスネアをやった時のライヴ録音で一応自分の中では記念であるので、ここに載せてみました。緊張しまくった最初の第1発、なかなか思うように手が動かず、本番中なのに1発叩き忘れました・・・。自分の中では忘れられない演奏です。音源は私しか持っていません。