カムラン・インスはアメリカ人とトルコ人の両親を持ち、1960年、モンタナで生まれました。1966年から1980年までの間トルコに移住し、現在はマイアミに住み、マイアミ大学とイスタンブール大学の教授として勤める傍ら、作曲活動を行っています。歴史を基にした作品を作ることが多い現代の作曲家です。

 


 

交響曲第3番「ウィーン包囲」
★★★★1/2
管弦楽:プラハ交響楽団
指揮:カムラン・インス
 交響曲第3番「ウィーン包囲」は16〜17世紀のオスマン・トルコ帝国の東洋世界とハプスブルグ朝の西洋世界の間の戦闘を描いたもので、インス自身が語るように「西洋と東洋の融合、二大文明の個性のぶつかり合い」を見事に描ききっています。楽章は8つに分かれ、第1楽章の「長い行進」から物語は始まり終楽章(第8楽章)の「大撤退」までハラハラする音楽がいっぱいに広がってきます。アメリカンチックなサウンドではなく、トルコで培われてきた東洋風の旋律が目立った作品です。

 

交響曲第4番「サルディス」
★★★★
管弦楽:プラハ交響楽団
指揮:カムラン・インス
 交響曲第4番「サルディス」は1999年7月に着手され2000年7月の1年間で完成をみた作品で、全5楽章から構成されています。
ここですこしサルディス遺跡の話を...。
 「サルディス遺跡はトルコのサリヒリからイズミル方向に約15km離れた村、サルトにあります。リュディア王国の首都であったところです。今は物静かで、そして典型的なトルコの田舎の村で、訪れる観光客も決して多くはありません。商店などの並ぶ中心街は大通り1本に沿ったごく狭い地域にまとまって開いています。」
 全5楽章とも地名から構成されていて第1楽章の「ヘルムス川」から始まり第5楽章の「トモロス」でクライマックスを迎えます。青銅器時代の遺跡をドラマティックに描いた感動作品です。

映画やドキュメンタリーを見ているような感じを受ける作品です。