ロイ・ハリスは1898年に生まれ1979年に亡くなった愛国心がとても強い作曲家です。アメリカの音楽の普及に人生を費やしました。アメリカを題材にした作品が多く、リンカーンやケネディなど歴代大統領をモティーフにした作品も人気があります。16もの交響曲や数多くの室内楽を書き、アメリカ音楽家の中で今でも人気を博している作曲家の一人です。 |
交響曲第7番 |
★★★1/2 |
管弦楽:ウクライナ国立交響楽団 |
指 揮:テオドレ・クチャル |
交響曲第7番は1952年から55年にかけて作曲されたので、比較的新しい時代の音楽ということになります。ハリスの音楽に出会う前から数々のアメリカ音楽を聴いてきて、「アメリカのクラシック音楽は分かりやすい」というのが定着していたので、このハリスはかなり取っ付き難かった作曲家の一人でした。第7番のその作品のひとつでなかなか受け入れがたい音楽でした。何が言いたいのか良く分からない長い序奏が冒頭から続きます。この交響曲は単一楽章なのでどこからどこまでが同じ楽章なのか良く分かりません。約20分の曲のですが、10分を過ぎても展開が読めません。ティンパニのソロが一瞬出てきて「お!これは!」と思ったのですが、やられました・・・。そこから先がまた意味不明で・・・。決まったメロディがなく、作風が「マトリックス」の音楽みたいで良く分かりません。ホント良く分かりません・・・。でも僕がなぜこの意味不明な作品に★を3.5個付けたかというと、そのカギは後半にあります。コーダがカッコいいから!ただそれだけなのですが・・・。コーダだけむちゃくちゃ吹奏楽!!リズムも良いし。このノリで前半も作ってもらいたかった・・・・。今では難なく聞けますが、初めて聞く人には非常に詰まらない作品に思えるかもしれません。 |
交響曲第9番 |
★★★ |
管弦楽:ウクライナ国立交響楽団 |
指 揮:テオドレ・クチャル |
交響曲第9番は1962年に作曲されました。第7番に比べるとそれほど難解ではありません。今回は全3楽章構成になっています。各楽章にはそれぞれタイトルがついています。 第1楽章「我々人民は」・・・ピアノとブラスによるファンファーレで幕を開けます。この辺がアメリカチックですね。ファンファーレが終わると少し序奏があり、打楽器も混ざり合うと一段と盛り上がりを増していきます。やがてバス・ドラムとシンバルの伴奏が入ると、木管の少し難解なリズムが登場します。再び繰り返しがあり、コーダへ入ると中途半端に終わります。 第2楽章「更なる完全な連邦を目指して」・・・この楽章は第7番に似たような環境にある作品です。それはどういう意味かといいますと、意味不明という解釈です。どこが更なる連邦を目指しているのか良く分かりません。僕には気まぐれで作ったようにしか聞こえず・・・。終わり方も意味不明です・・・。 第3楽章「公共の福祉を促進するために」・・・ホルンのファンファーレから始めるのはいいのですが、ホルンだけにしてほしかったです。せっかくカッコよく出来ているファンファーレの間に無駄に木管が入ってくるので変な曲へ早変わり・・・。この難解さ、アイヴスといい勝負かも・・・。クライマックスこそ一度終わるかのように見せかけて終わらんし・・・。本当の終わりはむちゃくちゃ変でした・・・。 |