ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ(HGW)
 今やリモートコントロール・チームでもかなり地位の高いところに君臨するHGW。その代表作には「キングダム・オブ・ヘヴン」、「シュレック1 & 2」、「スパイゲーム」や日本で有名なゲーム「メタルギア・ソリッド2 & 3」を手がけています。師匠ハンス・ジマーのようなパワフルなサウンドを作るのが得意で本作品でも大オーケストラと合唱を駆使した素晴らしいスコアを書いています。

 


私が自信を持ってお勧めする作品の数々です。評価は「★」の数が多いほど高いです。5つが最高。

シンドバッド 〜7つの海の伝説〜(2003) ★★★★★
演奏:ロンドンの寄せ集めオーケストラ 指揮:H.グレッグソン=ウィリアムズ
 「シンドバッド」は2003年、「パイレーツ・オブ・カリビアン」と同時期に公開されたドリームワークス社の長編アニメーション。
同じ海賊モノでしたが、実写の凄さには勝てず埋もれてしまった作品。
今回はパイレーツ〜のようにオーケストラと打ち込みリズムスタイルをあえてとらず、メインはオーケストラという形をとりました。
メインテーマはパイレーツ〜に匹敵するようなカッコよさ!ホルンが非常に高い音域を吹くテーマは聞く側にとって興奮しますが、吹いている側にとっては地獄・・・。随所随所にアクションスコアが散りばめられ、「タルタロス」と題された作品は10分を越える素晴らしいスコア。
HGWの素晴らしい創造力とオーケストレーションが堪能できます。

 この作品はマジヤバです。ロンドンの寄せ集めのメンバーってこれほどまでに上手いのかと感心させられてしまうほど。絶対ホルン奏者はロンドン交響楽団じゃないかと睨んでいるんですが。ここで演奏しているホルン奏者は神です。例えば吹奏楽曲でホルン殺しの「フェスティヴァル・ヴァリエーションズ」というのがありますが、この曲に登場するホルンが高音で吹くところ(ホルン奏者がヒーヒー言うところ)のような場所がシンドバッドには幾度となく出てくるのですが、これをヒーヒー言わずに凄いパワーで吹ききっています。半端なく上手いです。

 このアルバムは特に吹奏楽が好きな人に聞いてもらいたいですね。その中でもホルン吹きさんに!
特に金管楽器がこれでもか!これでもか!と押し寄せてくるので、興奮しまくること間違いなしです。トロンボーンの速いパッセージなおかつそれの所為で辛そうな伴奏も出てきます(この部分はすさまじくカッコいいけど)。
そして「パイレーツ・オブ・カリビアン」の音楽に夢中になってしまった方にも聞いてもらいたい作品です。

 

メタルギア・ソリッド2(2001) ★★★★
演奏:デジロック隊

 日本を代表するゲームソフト会社「KONAMI」が世界に誇る代表作の一つ「メタルギア・ソリッド」。このパート2の音楽をHGWが担当するって事を聞いた時、どれだけワクワクしたことか!HGWはメインテーマのアレンジとムービーシーンのパートを作曲しました。サントラ名を伏せて聞いたらまず思うのは「何の映画ですか?」と言うことでしょう。まさしくハリウッド映画音楽そのもの。曲は「シンドバッド」のようなオーケストラではなく、ジマー組が得意とするデジロック(デジタルロック)。一切オケは使わずにオケの音に近い音色を選び演奏しています。いやぁ〜、ゲーム音楽には非常に勿体無い作品ばかりで・・・。アメリカのB級&C級映画もこんな良い曲は使わないぞ!というくらいのもったいなさ。ゲーム音楽という領域を超えた音楽であることは間違いなし。

 

メタルギア・ソリッド3 〜スネーク・イーター〜(2004) ★★★1/2
演奏:デジロック隊

 パワーアップして帰ってきた「メタルギア・ソリッド3」の音楽も再びHGW。今回はHGW独自のメインテーマを作っているところに魅力を感じました。これがまた非常に良いのです。まさにハリウッド映画と言わず、ハリウッドゲーム。HGWが担当する音楽も増え、前作のようなムービーシーンだけではなく、普通の場面の音楽も任されるようになりました。前作の功績が認められたのでしょうな。作品は前作以上のインパクトがあると感じたのはメインテーマと脱出の音楽。この2つは本当に映画音楽です。鳥肌が立ちました。そのほかの音楽はそれほど目立ちませんが、それぞれのシーンに花を添えています。