エリオット・ゴールデンサールの音楽家としての人生は映画音楽ではなく、
純クラシック音楽からなのです。作曲をジョン・コリリアーノから師事していることからも
分かるように、ゴールデンサールは本格的な作曲術を学んだ作曲家であるのです。
そんな彼がクラシック音楽を作曲する傍ら、映画音楽にも手を伸ばしてきました。
有名どころでいきますと、「エイリアン3」や「デモリッションマン」、「S.W.A.T」など
ジャンルも幅広く活動しています。
その彼の映画音楽はと言いますと、本格的手法を武器に壮大な音楽を作り上げるという
やり方を突き通しています。オーケストラを巧みに使い、実験的なことをしながら
一つの音楽を完成させていくのです。
これからもっと注目されるべき存在の一人でしょう。


私が自信を持ってお勧めする作品の数々です。評価は「★」の数が多いほど高いです。5つが最高。

ファイナル・ファンタジー(2001) ★★★★★
演奏:ロンドン交響楽団 指揮:ディルク・ブロッセ

 スクウェアがハリウッドの若手クリエーターを集めて製作した全編CG映画「ファイナル・ファンタジー」。技術は素晴らしかったものの、内容で失敗した作品ですが、その音楽はピカイチ。合唱の入った大規模な交響曲と言った感じの作品です。ゲームのファイナル・ファンタジーもこんな感じだったらもっとゲームに燃えることができるんだろうなぁ、って思います。この作品は映画音楽よりも交響曲やオペラみたいな感じでとっていただけるとより楽しめると思います。それだけに出来が素晴らしい。毎回、ゴールデンサールの音楽を聞いてて思うことは「いつもどこかでホルン殺しな楽曲を作っている」という事です。とにかくホルンの使い方が上手いのですよ。もちろんオーケストラのコントロールはその上なんですけども。

 演奏はイギリスを代表する名門オケ、「ロンドン交響楽団」。あのジョン・ウィリアムズ作曲の「スター・ウォーズ」を録音した有名なオーケストラです。そのオケに同じくイギリスの名門合唱団「ロンドン・ヴォイセス」が入ります。指揮を担当するのは、吹奏楽などを作曲している「ディルク・ブロッセ」。彼は吹奏楽の為に、交響詩「エル・ゴルペ・ファタル」を書いています。その彼がロンドン交響楽団を相手に壮大な楽曲にチャレンジしました。大編成で且つ多彩な打楽器を用いたこの「ファイナル・ファンタジー」。ゲームの音楽ではなく一つのシンフォニーのような感じで一度聞いてみてください。映画とは関係なく楽しめる一品!

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バットマン・フォーエヴァー(1995) ★★★
演奏:ロンドン・メトロポリタン管弦楽団 指揮:ジョナサン・シェイファー
 前作、音楽を担当した「ダニー・エルフマン」から変更になり、本作からゴールデンサールが担当しました。監督はティム・バートンの世界観を引き継ぎながらも自分の世界観を作り出す、「ジョエル・シュマッカー」。ゴールデンサールはエルフマンの有名なテーマに似せて、自分のテーマを創り上げました。エルフマンよりシンフォニックな感じがします。テーマ音楽は打楽器の激しいリズムの上にホルンの高音トリルが鳴り響きます。いきなり凄い音楽から始まるわけです。アルバムを通して聞くと、やっぱりクラシック風だなと感じてしまう作品です。しかし実験的楽曲もあり、ジャズテイストな曲もあったりします。ラストに収録されている「バットマン・フォーエヴァー」と言う曲は、ワーグナー作曲のオペラを思い起こさせるような曲です。そんな感じでゴールデンサール風バットマンは、私にとっては残念な作品だったのですが(エルフマンのテーマのほうが良いので)、別の楽しみ方をもってすれば残念な作品とは思えないのです。
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