アントン・ブルックナーはオーストリアに生まれた偉大なる作曲家の一人。幼い頃からオルガンに嗜み、ご両親の友人の経営する協会でコーラスに励んでいました。で、そのブルックナーが作曲活動を始めたのは遅かりし頃で、最初はミサ・ソレムニスやレクイエムなどといった「声楽曲」の執筆に専念していました。
 たくさんの交響曲を書き始めたのは40歳になろうかとしていた時期で、そのころは「習作」という題名の交響曲を作っていました。それは現在「交響曲第00番」と呼ばれたりもしています。その後、ブルックナーは「交響曲第0番」を作るがまだ自分では納得がいかず、「交響曲第1番」では少し作風を変えることになります。この第1番を境にしてブルックナーの交響曲人生がスタートするのです。ブルックナーの交響曲は、一つの楽章が長いのが特徴で、特に第1楽章の冒頭は、一般的に「ブルックナー開始」と呼ばれ、弦楽器のトレモロの上から静かに主題が始まるというものです。「ブルックナー開始」があるのだから「ブルックナー終了」もある訳で、これは第4楽章のコーダから始まっていきます。これらはどの交響曲にも共通した事で、全部が全部っていう訳でもありませんが、1〜9の交響曲はなんとなく似ています。私はやはり、ブルックナーの交響曲はこれしかないと言われる「交響曲第4番」が好きです。
 この曲は、副題としてロマンティックと名づけられているが、そのタイトル通り、ロマンティックな旋律が第1楽章の冒頭から始まっていくのです。各楽章は長時間に及ぶが、実に飽きの来ない名作でしょう(と私は思います)。聞けば聞くほど味が出るたまらない曲。是非ライヴに行きたいと思っていますが、なかなか行けずじまい・・・。


ここからはブルックナー交響曲のオススメCDの紹介をしていきたいと思います。 (自分が所有しているCDの中から)
特にオススメは、赤字で示してあります。

曲名 指揮者 演奏団体
交響曲第1番 ゲオルグ・ティントナー ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
交響曲第2番 ゲオルグ・ティントナー アイルランド国立交響楽団
交響曲第3番「ワーグナー」 ゲオルグ・ティントナー ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
交響曲第4番「ロマンティック」

1.ゲオルグ・ティントナー(ハース版)

2.スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー(ノヴァーク版)

3.エリアフ・インバル(第1稿版)

4.ヘルベルト・フォン・カラヤン

1.ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団

2.ザール・ブリュッケン放送交響楽団

3.フランクフルト放送交響楽団

4.ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

交響曲第5番 ゲオルグ・ティントナー ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
交響曲第6番 ゲオルグ・ティントナー ニュージーランド交響楽団
交響曲第7番 ゲオルグ・ティントナー ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
交響曲第8番 ゲオルグ・ティントナー アイルランド国立交響楽団
交響曲第9番「未完」 ゲオルグ・ティントナー ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
交響曲第00番「習作」 ゲオルグ・ティントナー ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
交響曲第0番 ゲオルグ・ティントナー アイルランド国立交響楽団
 私が所有しているブルックナー交響曲全集はNAXOSからリリースされて話題盤となった、故ゲオルグ・ティントナーの指揮によるものです。ブルックナーを信愛していたティントナーの解釈は大変素晴らしく聞き手に感動を与えます。おしくも1999年10月に急逝してしまいとても残念だったのですが、なんとかこの全集だけは完成させていたので、ティントナーからの最後の贈り物として彼に感謝しなければなりません。演奏は他のレーベルから出ているものよりも格段と上手く、聞きやすく、ブルックナー入門者でも問題なく聞けます。幾分、他のマエストロよりはテンポを落としての演奏ですが、落としたことにより、細部まで音を読み取ることができるので聞きやすいと言うわけです。私の大好きなロマンティック交響曲はこのティントナーと稿の違うインバル盤を推薦します。ティントナーのロマンティックはテンポが遅めなんですが、弦楽器がとてもきれい。それと第3楽章のホルンの音が繊細。いうことなしです。そして稿の違うインバルの演奏はというと、本来の稿とは違うわけですから、曲が違うのです。タイトルはロマンティックとなっていますが、よく聞くと違うのです。特に第3楽章は全然曲が違う。そんなことになっている曲なので余計楽しめました。ブルックナーの交響曲全部を1日で聞くというのは容易ではありませんが(第8番は2枚組み!)、1日に1曲というペースでだったら難なく聞けると思います。極端に眠いときには聞かないほうがいいですよ。比較的静かな曲なので余計に眠くなります。ブルックナーは最初、とっつきにくいかと思いますが、彼の交響曲を理解できたとき、あなたはブルックナー以外の作曲家の曲をらくらく理解できるでしょう。さぁ興味を持った方聞いてみて!