作曲者(特徴)について |
前作と同じスタッフで続編は作られました。エルフマンは続投し、今作品で登場したニュー・キャラクター(キャットウーマン&ペンギン)にそれぞれテーマ曲を設け、なおかつバットマンのテーマをさらに進化させました。前作よりも濃厚で引き締まったスコアが展開されます。 |
作品(楽曲)の考察 |
@.進化したテーマと悲惨なオープニング |
前回のバットマンの3年後に作られたリターンズの音楽は、前作よりも濃厚で味わい深いサウンドへ進化を遂げました。悪役も二人になり、テーマもそれぞれ増え、そしてパワーアップしました。今回のオープニングは凄まじく悲惨な物語から幕を開けます。人間の子供として生まれたのに身体は奇形で無残にも捨てられる羽目になったペンギンこと、オズワルド・コボルポットは下水に放り投げられます。下水の奥深くに到着するまでの間、あのおなじみのテーマがグレードアップして流れ続けます。よりダークで悲しみを帯びた楽曲に観客はすぐさま引きずり込まれるのでした。オープニングが終わると同時に33年後のゴッサム・シティへ。ゴッサム・シティはクリスマス、あちらこちらでクリスマス・ソングが流れる中、成長したオズワルドが下水から部下を引き連れてゴッサムを戦場に変えます。そこへのんびり休暇を過ごしていたバットマンがバカどもを一掃するべく、バットモービルに乗ってゴッサムへと現れます。ここまでが壮大なオープニングです。後に上司に殺されかけたキャットウーマンが別の目的で現れるのですが、後にオズワルドことペンギンと手を組み、ゴッサムのヒーロー、バットマンを倒そうと戦いを挑んできます。そんな物語にエルフマンが全く新しい音楽を付け、新たな感動を与えてくれました。ニュー・キャラの登場により前作ほどバットマンのテーマは頻繁に登場しなくなりましたが、それがまた新鮮で心地よいのです。 |
A.引き締まったオーケストレーション |
シャーリー・ウォーカーがオーケストレーションを降り、別の人がやった為、前作のようなダイナミックなスコアではなくなりましたが、今回は合唱が頻繁に使われている為、より進化した作品に聞こえます。レコーディングメンバーも100人以下で盛り上がりに欠けるかもしれません。しかしより引き締まったおかげでそんなことは微塵にも感じさせないのです。若々しかったエルフマンの熟練度が上がり、ただ鳴らすだけでは納得行かなくなったのでしょうか。オーケストレーションの幅を広げることによって深みのある作品へと生まれ変わったのでした。今回は非常に合唱がよい味を出してくれています。これはリターンズの前に書いた「シザー・ハンズ」の影響が非常に現れています。シザー・ハンズで多用した美しい合唱がリターンズではダークな合唱となり、悲惨な物語の手助けに一躍買っていると考えます。アルバムの終盤で聞くことが出来る11分もの最終決戦を描いた作品では、悪役二人とバットマンのテーマが非常に上手く絡み合い、これぞエルフマン・サウンドと呼べる仕上がりとなっています。 ★最終決戦・・・進化したバットマンのテーマに絡む悪役二人のニュー・テーマ 試聴 |
B.総合 |
おしくもエルフマンのバットマンはリターンズで最後となってしまいます。これは後に続くバットマンのスタッフが完全に入れ替えられた為です。僕はエルフマンの描いたテーマのほうが断然好きなので、スタッフが変わるということを聞いたとき、せめてエルフマンだけは変えないでと願ったものでした。しかしエルフマンは降板させられてしまいました。リターンズでバットマンの歴史にひとつの終わりを見ます。これに続くシリーズを第2期としているためです。エルフマンとティム・バートン監督が手がけた二つのバットマンはヒーロー映画にかなりの影響を与えました。今でも僕と同じ考えを持ったファンがいっぱいいます。「ティム・バートンとダニー・エルフマンのバットマンを再び!」と・・・。 |